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- オリンピアンインタビュー
- 第13回 野口みずきさん
【北京オリンピックへ】
野口:そうですね。やっぱり2連覇という期待をすごく大きくされているんですけど。
高橋:そうですよね。周りの皆さん方は期待されていると思うのですが。
野口:私は日本代表で試合に臨む限りは、100%力を発揮したいと思うし、メダルは何色とは言いませんけど、獲得圏内には行きたいなと思っているだけです、平常心で。
高橋:またアテネオリンピックのときみたいにワクワクしながらやれたらきっと…。そんな簡単なものじゃないと思いますけれども。アテネオリンピックの前にUFOや、つちのこを見たというのは本当ですか?
野口:UFOは私だけじゃなくて、トレーナーの人も。
高橋:へえ、どこで見たんですか?
野口:サンモリッツの山で。
高橋:つちのこは?
野口:つちのこらしいものは、それもサンモリッツで。
高橋:2005年のベルリンマラソンの前は、空飛ぶペンギンを見たそうですが?
野口:ナショナル・ジェオグラフィック・チャンネルで、低空飛行してるペンギンを見て、それを空飛ぶって。
高橋:何かが見えると強いものがあるんですね。いまはまだ何か見えてませんか?
野口:見たいけど見てないです。
高橋:これって直前なのかな。北京に入ってから、北京の前も合宿があるんですか?
野口:あります、勿論。練習しすぎて頭がいっちゃったときとか。
高橋:そういうことなのかな?(笑)
野口:ご想像におまかせします(笑)
高橋:北京に対する不安はありますか?今もチベット問題があったり、あるいは食事の問題とか、あるいは気候、設備とか施設の問題とか、色々言われてますけれども。
野口:そうですね。環境問題とかはどうしようもないと思うんで。だけど工場とかはストップすると聞いているので。みんな同じ状況ですので、もう気にしないです。
高橋:マスクして走るわけいかないですものね。
野口:キツイです。行ってないんでわかんないですけど。現地に行ってどう思うかですね。
高橋:イアン・ソープ選手の言葉で『夢は絶対に一人では叶えられない』。これは座右の銘ですか。
野口:座右の銘ではないですけど、良い言葉だなと。本当に競技をやってる自分自身だけじゃなくて、生まれてからずっと一人ではないじゃないですか。両親がいて、友達がいて。いろんな人の支えがあって生きているからこそ、人生って面白い。夢を叶えるためにはいろんな人が支えになってくれるというのが、すごく共感できて。諦めなければというか、夢は必ず叶うという題の本だったんですが。
高橋:そうですか。もう叶っていらっしゃるわけですから。また新たな。
野口:今は夢の途中なので、向かっているところです。
高橋:そうすると、先のことっていうのはあまりお考えになってないですね。行けるところまで行って、その後はその後みたいな感じですか?
野口:次の日はもしかしたら足が痛くて走れなくなっているとか、何が起こるか分からない。私がこうやってここまで陸上を続けられたのも、全然思ってなかったし、分からなかった。何が起こるか分からないから、先のことを考えるほうではないですね。
高橋:北京までは考えていらっしゃる。
野口:そうですね、はい。とりあえずいまは北京のことをしっかりと。
高橋:その後は、もうとにかく頑張るということですね。強さの秘密って何ですか?
野口:強さの秘密。負けず嫌いですかね。すぐには答えられませんけど、負けず嫌いだから、ここまで走っていられるかなと。
高橋:なんか負けず嫌いっていうと、すごく自分一人でという感じがするんですが、皆さんに支えられていることが力になっている。さっきおっしゃった、世界の人に見てもらいたいっていうのは、何処からですか? 普通だったら日本にいる友達とか家族とか、先生に見てもらいたいってお答えになりますが、世界の人に自分の走りを見てもらいたいっていうのは、あまり聞いたことがないですね。
野口:日本だけにとどまらず、いろんな国の人に見てもらいたいと漠然と思ったので。以前メキシコで練習しているときに、柔道を教えている女の先生が私の走りを見て、『小さいのにあなたが走っていると、大きく見える』と言ってすごく興味を持たれてたんです。レースのとき応援に来てくれたらしくて、そのあとも手紙をくれたり、全然それっきりないんですが。私の走りでいろんなことを感じてくれるんだなって、そういうのがすごく嬉しくて。
高橋:そういう実体験があるからそういうふうに思えるんでしょうね。漠然と、例えばすごく目立ちたいとおっしゃりながらも謙虚で、地に足が着いていらっしゃる。けれども世界の人に見てもらいたいという、どうしてギャップがあるのかなと。やっぱりそういう色々な世界の方と触れ合った体験があるからそう思われるんでしょうね。やっぱりテレビや衛星放送を通じてってことですか、それとも沿道ですか?
野口:それは、沿道だったりテレビでもいいですね。
高橋:実際にファンからお手紙とおっしゃいましたけど、例えばメールが来たりとか、そういうことはありますか。
野口:ドイツの人とか、フランスの人とかいろんなところからファンレターみたいな感じで、来るときがあります。
高橋:私はてっきり日本の方だけだと思っていたんですけど。やっぱり手紙がくることで世界の人となるのですね。返します?
野口:返します。ちゃんと返信用の封筒が入れてくれてあるんです。
高橋:それは何語で返すんですか?
野口:英語と日本語でサインを書いて。
高橋:えらいですね。もう、ホントざっくばらんに色々お話してくださったので、ありがたかったです。ありがとうございました。
野口:ありがとうございました。
ゲストプロフィール
- 野口 みずき(のぐち みずき)
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オリンピック・マラソン競技金メダリスト。女子マラソンの日本記録、アジア記録保持者。
生年月日は1978年7月3日。
血液型はO型。身長150cm、体重40kg、左利き。
中学1年から陸上を始めた。小柄ながらも、強い筋力を生かした ストライド走法の走りが持ち味である。
現在の所属はシスメックス株式会社。
アテネオリンピックにて日本に2大会連続のオリンピック 女子マラソン金メダルをもたらした。