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- オリンピアンインタビュー
- 第2回 渡辺武弘さん
【オリンピックに出場したことの意味】
高橋:オリンピックに参加されたということは渡辺さんの今までの人生にとってすごく重要なことですか?
渡辺:いや、それはもう天と地ぐらい差がありますね。
高橋:出るのと出なかったのでは、どういうふうに?
渡辺:他人の受け止め方が全然違いますよね。これちょっと。
高橋:ああ、周りが。
渡辺:変な話なんですけど。全然違うんですよ。
高橋:具体的に何か、例とか。
渡辺:本当に日常会話の、例えば「オリンピックに出てるんだよ」って言ったら、みんな「うぉーっ」ってやっぱ。日常の中、特にあれですよね、反応してくれますよね。
高橋:ああ、そうですか。現在の職場でも。
渡辺:現在でも、ああ。その反応って。「じゃ、国体も出てんの?」って聞かれるんですよ。世間、地方の方はね、国体が一番と思ってる方いっぱいいらっしゃいますもんね。年配の方なんて。
高橋:オリンピックって言ったら、それこそ別世界のことで、一般の人から見れば、オリンピック選手って言っただけで…。
渡辺:それは正直得してますよね、ちょっとそういう意味では。すごくいろんな部分で、何かそういう話の時は非常に、ま、変な話一目置いて見てくれる部分がやっぱりありますよね。ええ。
高橋:でも今のお仕事は卓球とまた全然違うじゃないですか。で、そこで例えば、自分が別の所から来たということを隠そうとして今の状況に慣れようとされる方もいらっしゃると思うんですが、渡辺さんの場合はそうではなくて、自分はオリンピックに出たということを。
渡辺:いや、自分からは言わないですけど。
高橋:あ、自分からは言わないですか。
渡辺:あの自分からは言わないですね。ええ。
高橋:他の方が。
渡辺:ええ、言ってくれたりするんですけど。はい。でもさすがに自分からは言えないですね、それはね。やはりそういう話だったらちょっと出ることはあるんですけど。自分からはちょっと言わないですよ。
高橋:それは何となく仲間意識の中でちょっと違う人っていうふうになってしまうからかな?それとも、何か威張ってるみたいだから言えない。
渡辺:そうですね。どっちかって言ったらそうですね。ええ。ま、たまたまそういう話の流れになれば話はすることはあるんですけど。ま、仕事の中にそんなにスポーツの話がもし出なければ、あえて自分からは言わないですね。
高橋:そうすると普通のっていうか、一営業の方という。
渡辺:ええ。
高橋:そこにギャップは無いんですか?ご自身の中で。何か私から見るとオリンピックに出たということで、例えば普通の人と一緒に働くというのは…普通の人になるわけじゃないですか。普通の人になるって変な言い方だけれども…。
渡辺:確かに本音を言うとやっぱりその世界で生きてたらたぶんそういう意味では楽なのかも知れないですよね。
高橋:卓球を教えるとか。何かそういう方がご自分の経験とか活かせるじゃないですか。今のお仕事でも活かせる所はあるんですか?その、今まで培ってきたことを。
渡辺:うーん、まあ直接には、うーん。やってたからって売り上げがうんと上がるとかっていうことはたぶん無いですね。ただ、僕目指したのはやっぱりその、例えば後々、「ああ、渡辺はやっぱりスポーツやってたんだな」って。「あ、だから渡辺っていうのは誠実だったんだな」っていうような。何かそういうスポーツ選手だからこそのものをやっぱり持っておかないと、「なんだあいつスポーツやってたらしいけど全然礼儀できてないじゃん」とか。「約束守らない」とかって思われるのが一番悔しいんで。やっぱりスポーツで培ったものは必ず仕事の中で出して行きたいとは思って。そういうオリンピックに出たとかじゃなくてですね、そういうものはやっぱり。スポーツ選手はやっぱり爽やかで約束よく守って、あの、しっかり礼儀もできるよねっていう部分はやっぱり非常に僕自身は大事にしている、仕事の中ではですね。あとはチームワークっていうこと。
高橋:あ、そうですね。チームプレーですもんね。
渡辺:はい、はい。