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- 第11回 伊調千春さん 吉田沙保里さん 伊調馨さん 浜口京子さん
【レスリング以外の夢】
高橋:何か、今、これをやってみたいということはありますか。
千春:やってみたいことですか。いっぱいありますね。エステとか、ネイルもやりたいし。今はオリンピックを目指してやっているので…髪の毛が長い選手もいるんですけど、自分は長いと集中できないんですよ。だから短くしなくちゃいけない。短くしているおかげで、かわいい服もかわいく着られないし。今は別にいいんですけど、それで。
吉田:髪の毛を伸ばすんだよね。終わったらね。
千春:だから引退したら、やりたいことはいっぱいあります。
吉田:めっちゃ見たい(笑)。髪の毛伸びたの。
馨:短いのしか見たことがないな。
高橋:引退は随分、先の話では?
千春:そうです。できる限りはやりますけど。
高橋:では、まだまだロングヘアーは先の話ですね(笑)。吉田さんは何かやってみたいことはありますか。
吉田:ゴルフをやってみたくて、始めたんですよ。あとピアノをもらったので、ピアノを弾けるようにしたい。保母さんになりたいので。
高橋:え?
吉田:そうなんです。教員の免許を持っているので、いずれかは教員か保母さんになりたいです。でも、保母さんの免許は持っていないので、大学に児童科というのがあって、そこに通えば取れるんですけど。
浜口:びっくりした(笑)。
吉田:びっくりした?(笑)
高橋:これも後で伺おうと思ったのですけれども、将来の夢というか、いずれ引退をされた後のことを…。
吉田:ああ、そうですか。言っちゃいましたね。私は、保母さんになりたいなという、今はそれは夢です。子供が大好きなので。
高橋:例えばレスリングを子供に教えるとか。
吉田:何かね、教えるとか指導者は、私はあまりできないです(笑)。馨とかはすごくうまいんですけど。
馨:そんなことはないですよ。
吉田:私は、仕切るとかそういうのはちょっと苦手というか。だから、保母さんだと楽しいかななんて。「強くさせないと」というのがあると、やはり「強くさせられなかったら」とかそういうのもある。責任感が…。
浜口:そんなことない、さおちゃんの場合、楽しく教えたり…。
吉田:いや、だから保母さんは楽しくできるじゃないですか。けど、やはり指導者となるとやはりまた違うので…。
高橋:そうですね。馨さんはどうですか。今やってみたいことと将来のこと。
馨:今、やってみたいことは特にないですね。特に今、普通に幸せなので(笑)。
高橋:では、今、充実しているということですかね。
馨:やりたいこと…海外旅行をしたいです。世界1周旅行とかをしてみたいです。
高橋:でも、試合で、いろいろな所に行かれているんじゃないですか。
馨:行かれてますけど(笑)。試合が終わったら、もう翌日帰国なので、何も意味がないです。
高橋:え、そうなのですか。現地で観光とか、そういうことはないのですか。
馨:ないです、ないです。試合が終わるまでは何もできないです。
吉田:練習、寝る、の繰り返しだよね。面白いことはないです。(階級によって)試合が最終日なので、その次の日には帰るという感じだから、すごくかわいそうです。
浜口:何も見られないですね。もう必死に、疲れている状態なのに帰国。移動、みたいな。
吉田:最後まで緊張感があるし。めちゃかわいそうです。
高橋:そうですか。今は世界1周旅行で、将来は。
馨:将来は、結婚したいです。結婚というか、普通の生活をしてみたいです。今、普通じゃないじゃないですか。やっぱり時間に追われて、練習でこんな筋肉をつけて。まず、格闘技をしている女の子たちだから、一般の女の子に比べて、やはりでかいじゃないですか。
千春:絶対でかいですよね。
吉田:脱いだらね。見た目はこう見えないですけど、脱いだらやはり太さは全然違いますよ。普通の女の人とは。
馨:だから、普通に結婚して、普通に子供を産んでというか、普通の家庭にあこがれますね。普通の生活。普通にデートをしたりとか、普通におしゃれをしたりとかという生活がなかなかできないので。レスリングをやめたら、そういう生活にあこがれます。
高橋:例えば谷亮子さんは結婚されて、お子さんがいらして、それでも金メダルを目指すという、そういう生活はどうですか。
馨:難しいです。
吉田:結婚したら、馨は多分、レスリングはやらないという感じですね。
馨:自分は無理ですね。あんまりやろうとは思わないと思います。レスリングをやり続けてきたから、今度はこっち(家庭)に尽くしたいというか、こっちを大切にしたいというか。
吉田:いいこと言うね(笑)。
馨:両立できるのが一番いいですけど、どちらかというと選手というよりは指導者というか、やるんだったら子供と触れ合ったりという趣味程度だと思いますね。何もない生活というか、専業主婦とかにもあこがれましたけど。今はちょっと仕事もしたいなと思います。働くということをしたことがないんですよ。アルバイトもしたことがないし、働いてお金を稼ぐということをしたことがないので…やはり普通じゃないんですよ(笑)。
高橋:普通ではないですよ。オリンピックに行かれること自体、普通の人はできないのですから。
馨:こっちはこっちの世界がありますけど、でも、そっちにはそっちの世界があるというか(笑)。お互いの世界にあこがれるんですよね。
吉田:自分は今こうだから、やはり働くということはすごく大変だと思います。私は、多分できないと思います。違う厳しさ。こっちにはこっちの厳しさがあると思いますけど、社会の厳しさは経験したことがないから。
馨:そうですよね。だから、大変だから、やってみたいと思います。
吉田:私はやってみたくない(笑)。絶対厳しくてついていけないですもん。
高橋:そんなことないですよ。これだけの大変なことをご経験されていらっしゃる方たちだから、もうどんなことをやっても絶対大丈夫。
吉田:社会はね…。
馨:いや、社会は厳しいですよね。
吉田:学生で、介護実習とかそういう実習に行くだけでも大変ですもん。働いている人を見たら、「これを毎日続けるのはすごい」と思います。まあ、5日間だからやれるという感じですもん。
高橋:ああ、そうなんですか。浜口さんはどうですか。今やってみたいこと。
浜口:ボディーボードをやってみたいです。
吉田:ボディービルかと思った。びっくりした(笑)。ボディーボードってなんだっけ?
浜口:海で、サーフィンみたいな。サーフィンとかそういう波乗りをしてみたい。
馨:へえ、格好いい。
高橋:何か、またそれはそれで、プロサーファーとかになってしまいそうな気がします。
浜口:なれたらなりたいな、っていう感じです。
吉田:へえ…すごいね。
高橋:では、すごく先の話ですけれど、引退されたとしてその後は例えば、お父さまの道場を継ぐとか。
浜口:いや、それは考えていないです。引退したらまず、家族にすごく私は、レスリングをやっていることでいろいろな負担をかけて今まで来たんですね。なので、家族にゆっくり海外旅行に連れていってあげて、いろいろな所を見せてあげたいです。それで、癒してあげたい。
吉田:偉いね。
馨:優しい。
高橋:その後、例えば何かご自身でやってみたいことは。
浜口:何でしょうね。いろいろなスポーツを見てみたいですね。いろいろなものを見て、あとはスポーツもそうだし、いろいろな世界を見てみたいです。いろいろなことに挑戦してみたい。
高橋:私が今日、皆さんにお会いする前のイメージとして、引退されてもずっとレスリングを続けていかれるのかなと思ったのですけれども。
吉田:よく言われるよね。
高橋:そうじゃないんですね。お父さまとかが聞いて、寂しがりませんか。
吉田:将来の話はあまりしないのと、お父さんは、今度は孫を…今、いろいろなちびっこを自分の家で育てていて、お兄ちゃんに子供ができたので、その孫ももう「やらせる」と言っていて、私の子供も「やらせる」と言っているので、それはどうなるか分からないですけど、今度は孫を強くさせるという、お父さんもお父さんで夢はあるみたいで。けど、まだ先の話なので…まだ今は、「おまえはとにかく、北京で頑張れ」と、それしか言わないから、将来の話はあまりしない。将来の話、してる?
馨:うーん、しないですけど…。でも、やはりレスリングに携わりたい気持ちはあります。趣味ですよ。趣味というか、全日本とかそういう大きなレベルではなくて、ちびっこ(笑)。小さい子と遊ぶということ。レスリングと離れるのはやはり難しいですね。やはり好きなので。
吉田:全く離れることは、多分、みんなないと思いますね。
高橋:あと、すごく稚拙な質問なのですが、今度生まれ変わるとしたら、男と女、どちらに生まれ変わりたいですか。というのは、男子だったらレスリングはずっと前からオリンピック種目にあったじゃないですか。それから、女性が格闘技をしているということで、いろいろな見方があると思うのです。それはまたいい意味での、女性でもここまで強くて美しいというスター性という意味もあるのですが…レスリングを含めても含めなくても構わないのですけれども、どうでしょうか。
浜口:また女性に生まれたいです。
高橋:何をしたいですか。
浜口:やはりボディーボードとかサーフィンとかやっていたいです。
高橋:ああ、生まれ変わったら、女性だけれども、レスリングではなくて、サーフィンの方に行きたいと。馨さんはどうですか。
馨:自分は男ですね。今、女だから、男になってみたいです。男は、女よりやはりレスリングの技術だとか、全部、何もかも上じゃないですか。体力も、技術も。自分が男だったら、どんなレスリングをするのかなとか。体力とか技術とか、今以上にやはりレスリングが面白くなるのかなとか思うと、男になってみたいなと思います。
吉田:うーん、私は迷うんですけど。女は女ですごく大変なことがいっぱいあるし、面倒くさいということもあるし、男がいいかなと思いますけれども、決められないです。今、すごく成功しているから、また同じような思いをしたいというのはあるかもしれないし。馨みたいに、男だったらどこまで行っていたかなというのもあるし。けれども、スポーツは好きなので、何かのスポーツはしたいと思います。
高橋:アテネのときに、栄(和人)監督を肩車したじゃないですか。あれは、私はテレビを見ていて、すごく衝撃を受けたのです。それは、ご自身の中ではどうだったのですか。栄監督の夢だったから、そういうふうにしてあげたということをどこかで読んだのですけれども。
吉田:優勝したらやろうと思っていたので。お世話になったというか、ありがとうございますという意味でやりました。
高橋:千春さんはどうでしょうか。
千春:私も決められないですね。男性に生まれ変わったとしたら、さっき馨が言ったように、レスリングの技術とか体力とか、今よりもっともっと上になれるじゃないですか。そういうようなのも経験してみたいし、同じく女性に生まれ変わったら、今度はレスリングじゃなく、さっき言いましたけどエステとかファッションとか、そういうふうにいろいろなことをしてみたいというのがあります。