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- オリンピアンインタビュー
- 第28回 加藤澤男さん
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選手時代は酷いケガであろうとも厳しい試合を多く戦ってきました。初めの内は割にいい条件で練習も試合もできるものですが、その後ケガや様々なハンディを背負った中で勝ち続けて行かなくてはいけなくなる。それにはどうするか。やはり練習っきゃないんです。人間だから欲をかきたくなるけど、雑念が消えるくらい練習するんです。本番では六割自分の力を出せれば上出来、それで勝てと言われていました。ちょっとおかしいんじゃないかとも思いました(笑)。どっちみちあれこれあるのはわかっているから、六割の力で優勝できる域に行っていなさいってことです。それには練習です。練習中は全然カッコよくない。黙ったままで白い粉にまみれて、失敗ばかりしている。しかし経験を積むにつれてだんだん練習の中身が濃くなっていく。大きい試合で自分を見失うようじゃ困る。そのためにもやっつけておかねばならぬことがある。どこからどう考えても最後は練習しか頼れるものはないということです(笑)。
加藤さんの小声で噛みしめるような話し方がいい。正確に話そうとして言葉を吟味して選ぶ律義さがいい。そして相手の言わんとするところを早く正しく把握しようとする慮りがいい。お話の面白さに引き込まれて、半世紀前の時代風景に触れることができた。最後に極秘情報だが、加藤さんの好きな食べ物がうどん、蕎麦、パスタ等の麺類(穀物類)であること、不得手なのがクワイであることを添えておく。
(インタビュアー:田村清行)
- 加藤 澤男(かとう さわお)
- 1946年新潟県生まれ。体操選手。体操指導者。東京教育大学卒。国際体操連盟技術委員、筑波大学教授を経て白鴎大学教授。日本体操協会評議員。メキシコシティー、ミュンヘン、モントリオールのオリンピック三大会に出場。金8個、銀2個、銅2個の合計12個のメダルを獲得。