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- オリンピアンインタビュー
- 第25回 福原愛さん
【2度の悔しさを胸にロンドンへ】
ロンドンオリンピック出場を決めた直後には、北京オリンピックで負けた瞬間の写真を大きく引き伸ばし、練習拠点としていた味の素ナショナルトレーニングセンターの福原の“定位置”である卓球台後方の壁に、ライバル選手の写真と共に貼り出した。アテネ、そして北京での反省を生かすためにしたことだという。
福原:「同じ思いをしたくないということと、気持ちで負けたくないという思いをぶつけました」
そうして臨んだロンドンオリンピックは、シングルスで自身初のベスト8に進出し、団体戦で悲願のメダルを手に入れた。“やることはすべてやった”と思えたロンドン出発前の最終の練習後、壁に貼った写真はすべて剥がしたという。
ロンドンからの帰国2週間後、福原は以前から痛めていた右肘の手術に踏み切った。オリンピック当時も、痛み止めを打たなければ試合ができないほどの症状だったのだという。しかし、おそらく卓球人生でも最も長い休養のあと出場した今年1月の全日本選手権では、シングルス2連覇を達成。心に残る試合は「どんどん更新されていくんです」という福原にとって、既にロンドンオリンピックは過去の大会であり、今は全日本選手権の優勝を誇りに思っている。それでも、「絶対メダルを獲ってくる」と誓って出発し、有言実行となった3度目のオリンピックについて、「20年間の集大成の大会だったと言えますか?」という質問に、力強く「もちろんです」と答えてくれた。
卓球を始めたばかりの4歳の少女が、悔し涙を見せ、成長し、オリンピックを目指し、そして本当にオリンピックでメダルを獲った。その過程をすべて、多くの日本人に見せてくれた福原愛という選手の今後の人生にも、私たちはきっと注目するだろう。彼女が好きだという「一意専心」という言葉が、それを確信させてくれた。
ゲストプロフィール
- 福原 愛(ふくはら あい)
- 1988年11月1日宮城県生まれ。ANA所属。3歳9カ月で卓球を始め、幼いころから多くの国内大会で最年少優勝の記録を更新。全日本選手権女子シングルス2連覇を含む全ての種目(年代別、ダブルス)で優勝し、グランドスラムを達成した。世界大会では世界選手権団体銅メダル4回、混合ダブルス銅メダル1回獲得。オリンピックでは2004年のアテネオリンピックに日本卓球史上最年少で出場後、3大会連続で出場を果たし、2012年ロンドン大会では団体で銀メダルを獲得。