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- オリンピアンインタビュー
- 第24回 村田諒太さん
【最初は2週間で逃げ出した】
聞き手:村田選手の子どものころのお話をお聞きしたいと思います。
村田諒太(以下、村田): ボクシングは中学校1年生のときに始めました。小さいときの夢というのは実は特になかったんですが、ちょっとだけやんちゃな時期があって、中学校の担任の先生が「お前、何かほかにやりたいことないんか」というので、「ボクシング」って言ったらその週末に近くの高校につれていってくださって。練習は何回も逃げ出しましたけど、なんとか、いい出会いにも恵まれて今に至っています。
聞き手:今までにもうボクシングはやめたいとか、こういう練習は嫌だとかいうことはありましたか。
村田:オリンピック前はなかったですけど、それこそ始めたころは…はじめ僕、2週間で逃げ出したんで(笑)。とりあえず、練習前に高校生と一緒に800m走を何本も走らされたので、それが嫌で逃げ出しました。
聞き手:トレーニング方法でいえば、何かボクシング特有の練習だとか、この練習がつらいというようなものはありますか。
村田:ボクシングは殴られるのもしんどいですけど、パワーマックスっていって自転車をこぐトレーニングがあるんですよ。ひたすらフルパワーで漕いで、休んで…というのを繰り返すトレーニングがあるんですけど、そのトレーニングの前日はそのことが頭を離れなくなるくらいしんどいですね。
聞き手:例えばボクシング特有の、3分やって1分休むですとか、そういったトレーニング方法もあるのでしょうか。
村田:それは考えますね。走るトレーニングにしても3分間ガーッと走るとか。ボクシングって、一定のリズムで続くものではなくて波があるので、波をつくるように走ってみるとか、常に実戦は考えたうえで練習はしています。
聞き手:特に村田選手はスタミナがすごいと言われています。試合を見ても、最後に外国人選手が腰砕けになってクリンチに逃れたりするんですが、村田選手はそれを引き離してパンチで倒しにいきます。スタミナにはかなりの自信がありますか。
村田:そうですね、そのパワーマックスというトレーニングをオリンピック前には週に3回やってたんですが、それをやっておけばある程度は大丈夫だろうっていう…ハートの面でも安心できて。そういった意味では自信はありました。
聞き手:緊張感はありますか。試合前のリングに上がるまではどれほど怖いのか…孤独にリングに向かっていくというのはどんな感じなんですか。
村田:いや、緊張しますよ。特にオリンピックの準々決勝はメダルがかかっていたので緊張しました、オリンピックは特別なので。僕は普段、1日前は緊張するんですが、当日は切り替えられるというか、まったく緊張しないタイプなんです。でもオリンピックだけはちょっと…清水(聡。ロンドン大会バンタム56㎏級銅メダリスト)っていう選手がいるんですけど、そいつが僕の準々決勝の1日前にメダルを決めてくれてたので、僕もプレッシャーになって緊張していました。彼が僕の1日前に勝ったあと、僕に言ってきた言葉が、「明日負けろ」だったんです(笑)。
聞き手:それは本当に仲が悪いのではなくて、いい意味でプレッシャーを解くために言ってきたのですよね?
村田:友達ってそんなもんですよね。そういうことが言えて初めて友達であって、気をつかうところももちろん必要ですけど、そこまで言えるっていうことは、僕たちは本当に仲が良いと思いますね。