選手インタビュー

松岡修造さんインタビュー

松岡修造さん 松岡修造さん テニス 1988年 ソウル,1992年 バルセロナ,1996年 アトランタ

(文:田坂友暁、写真:フォート・キシモト)

勝つ姿だけではなく、負ける姿からも“気づき”を得られるのがオリンピック。

僕はオリンピックには一体何があるんだろう、と考えることがあります。オリンピックを観に行く人たちは、もちろん自国の選手が一所懸命頑張る姿を応援しに行くというのもあると思いますが、それだけではありません。オリンピック期間中は戦争がなくなる貴重な時間でもあるし、それは間違いなく平和につながっています。国も言葉も関係なく、みんながひとつのオリンピックという舞台を目指して努力を積み重ねる。その勝負に勝ったり負けたり、選手たちの人間ドラマも選手の数だけあります。オリンピックだからこその出来事を目の当たりにした人たちが、それぞれ多くの新しい“気づき”を得られる、オリンピックはそういう場所ではないかと思うんです。僕がオリンピックで記憶に残っているシーンはいっぱいありますが、それは、試合で負けた選手や思うような結果を出せなかった選手の姿のほうが、人間味という部分でとても印象に残っています。そういう選手たちは、その挫折を乗り越えてまたさらに成長して活躍し、その挫折の経験を糧にして競技を引退したあとの人生を力強く生きていく。そんな姿を見ていると、自分も頑張っていこう。こんな挫折に負けていられない、って力をもらえるんですよ。勝つ姿だけではなくて、負ける姿からも、もっと言えば、選手が人生をかけて挑むあらゆる姿から力をもらえる。それもオリンピックの魅力のひとつだと思います。

オリンピアンの力で大きなパワーを生み出し、それがオリンピックをさらに盛り上げる

松岡修造さん

オリンピアンとして、オリンピック精神は何かと考えたら、先ほども言いましたが、僕は「心をひとつにする、ひとつになる」ということではないかと思います。人はどうやってつながっていくんだろう。人はどうすれば心がひとつになっていけるのか。オリンピックやスポーツを通して考えることで、心をひとつにする大切さに改めて気づけるのではないかと思います。

それともうひとつ、東京2020をきっかけとして、自分がオリンピアンであるという誇りをもう一度思い出すと同時に、そこから新しい目標や夢が生まれるのではないでしょうか。オリンピックには、参加することに意義がありますが、オリンピアンは、必ずオリンピックスピリットを持っていると思います。周りの評価とか関係なく、自分のやりたいことは何なのかを追求していくスピリットですよね。

元々、自分のやりたいスポーツがあって、それでオリンピックに出場するために一所懸命努力して、その夢を勝ち取ったわけです。であれば、第二の人生に向けて、東京オリンピックが来ることによって改めて気づかせてくれた誇りを持って、再び自分が人生のチャンピオンになるために、新しく挑戦したいことを見つけるチャンスなのかもしれません。

だからこそ、オリンピアンのみなさんには、ぜひとも東京オリンピック・パラリンピックに参加してもらいたいと思います。その参加というのは、応援だったり、オリンピックの素晴らしさや楽しさを多くの人たちに伝えたり、どのような形でも良いと思います。オリンピアンみんなが、東京2020に向けて、みんな参加しようと発信し始めたら、とてつもないパワー、原動力になると思いますよ。

僕が日頃感じているのは、1964年の東京オリンピックに出場した選手の声はもちろんですが、出ていない人の声がすごいということ。64年の自分はこうだったとか、テレビを見ていてこういう気持ちになったからこれを始めたとか。言ってみれば、それはもうオリンピックに参加していると思うんです。選手としてではありませんが、オリンピックを見て何かを感じ一歩を踏み出したら、それはもう参加しているんです。間違いなく、2020年にも同じ事が起きます。だからこそ、僕は全員が自分から何かを感じること、新しい“気づき”を求めるようなオリンピックであってほしい。そういうオリンピックになれば、必ず盛り上がっていくと思います。

~松岡修造さん インタビュー 完~

松岡修造さん
松岡 修造(まつおか しゅうぞう)
1967年東京都生まれ。10歳の時に本格的にテニスをはじめ、高校2年でテニスの名門福岡県/柳川高校へ編入する。同年高校総体で、シングルス、ダブルス、団体の3冠達成。その後、単身アメリカへ渡り、86年プロに転向。1995年には、ウィンブルドンで日本人男子として62年ぶりとなるベスト8進出を果たすなど、日本を代表するプロテニスプレーヤーとして活躍。自身のオリンピック出場は、1988 年ソウル、1992バルセロナ、1996アトランタの3大会。現在は、世界を目指すトップジュニアの指導など、後進の育成に尽力する一方、メディアでも活躍中。1998年長野冬季大会以降のオリンピックでメインキャスターを務めたほか、2008年北京、2012ロンドン、2016年リオデジャネイロ、2018年平昌に続き、2020年東京でも「日本代表選手団公式応援団長」に就任。
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