選手インタビュー

大澤明美さんインタビュー

大澤明美さん 大澤明美さん カーリング 1998年長野

【冷静に感じた世界との差】

五味:実際に長野での大会では、結果はどうだったんでしょうか。

大澤:1試合目から、前半は勝っていて内容も良いのに、後半になるとバタバタと自分たちで自滅して逆転負けという試合が続きました。2試合目も3試合目もだいたい同じような負け方をして、その悪い流れを引きずったまま、2勝5敗で5位という結果で大会が終わってしまいました。

五味:そうすると、あまり納得できたものはなかったんですか。

大澤:納得はできなかったですね。2勝しかできなかったっていうのもありますし、コンディションとかメンタル面のピークを本番にうまく持っていけなかったことも悔いが残りました。でも、私は4位のチームから勝ち星2つ離された5位というのが、そのときの自分たちの実力だと感じていたので、予選敗退が決まったときも涙は出なくて、逆にすごく冷静にその結果を受け止めたことを覚えています。

五味:自分自身のプレーに対してはどうですか。

大澤:自分自身に対しては、「もっとできたはず」という気持ちが残りました。さっきも少し話しましたけど、私のポジションは投げるだけでなく、掃くことも重要な仕事なので、そういう意味で、チーム全体で「ナイスショット」生み出すことがなかなかできなかったことが本当に悔しかったし、応援してくださった方々に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。大会が終わってしばらくは、「あと数センチ」というミスの一つ一つが頭から離れなかったです。

五味:大澤さんはオリンピックの出場は一度ですが、オリンピックというものが大澤さんにとっては何であったかというのは、どういう感覚でしょうか。

大澤:今思えば、まさに祭典でしたね(笑)。後悔がないわけではないですけど、やっぱりあの場所に立って堂々とプレーできたことは、最高に素晴らしい経験だったと思います。開会式や閉会式の雰囲気も素晴らしかったですし、大会後に開かれた皇居でのお茶会で皇室の方々に声をかけていただいたことも本当に感動しました。私にとってはプレーしたというだけでなく、そういうオリンピックにまつわるすべてのことが本当に良い経験でした。

五味:カーリングという競技の特殊なところでもあると思うんですが、例えば他の競技は本当に小さな頃からやっていて、小さな頃からの夢がオリンピック選手だったということが多いと思うんですが、大澤さんの場合はオリンピックというものが見えてから非常に早く実現したものだなと思うんですが…。

大澤:それはカーリングの特殊性というより、私たちの時代はそうだったというだけです(笑)。そもそもそれまで正式種目になってなかったわけですし、その上、専用の施設もほとんどないし、もちろん競技人口も少なくて……。けれどトリノで注目を浴びてからはだいぶ状況が変わって、今、第一線で活躍しているカーラーのほとんどは子どもの頃からカーリングに打ち込んできた選手ばかりです。そういう意味では、カーリング歴1年で日本代表という記録はもう破られないかもしれませんね(笑)。

五味:実際には大澤さんご自身で短い間に自分自身を高めてきたことももちろんあるでしょうし、集中して取り組んできたと思うんですが、実際にオリンピックというものを経験して、カーリングに対する気持ちや取り組み方は、そのあと変わりましたか。

大澤:実は長野が終わった後、次のソルトレイクシティーを目指そうと決めたんです。それで1年間ナショナルチームにいたんですけど、結婚を機に北海道から東京に出てくることになって、それで一線を退くことになったんです。その頃からカーリングに対する考え方が少しずつ変わっていきましたね。今までは上を目指して取り組んでいたわけですが、これからはもっと楽しむカーリングをしたいなって思っています。

五味:オリンピックの次の年は世界選手権にも出られましたが、結婚が転機になったんですね。

大澤:そうですね。

五味:ご結婚で北海道の会社は辞められて、所属も変わったんですね。

大澤:今は東京のカーリング協会に所属して、いろんな人たちとチームを組んで、趣味の一つとしてカーリングを楽しんでいます。

五味:厳密には引退したという形ではなくて、競技も続けられているのですね。

大澤:今、カーリングは、基本的に日本選手権優勝チームがそのまま日本代表になるという仕組みになっているんです。例えば、私ならば、東京都の大会で関東選手権への出場権を獲得して、関東選手権で日本選手権の出場権を取って、そして日本選手権で優勝すれば、それで日本代表になれるというわけです。だから引退というよりは、一線を退いたと言うほうが近いですね。

五味:競技も続けつつ、ご指導もされていると。

大澤:はい、去年2月に中国で開催されたユニバーシアードで、東京の男子チームのコーチとして初めて国際大会に参加してきました。

五味:ルール的には当時と今とでは違いはないんでしょうか。

大澤:特にはないんですが、強いて挙げれば、試合中にタイムアウトが取れるようになったことでしょうか。あとカーリング競技の中に、ミックスダブルスという男女一人ずつ二人で競技を行う新種目が生まれました。

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